スカウト教育法

 

 ボーイスカウトというと、キャンプ、ごみ拾い、募金活動…。そんなイメージでしょうか? 確かにそのような活動をしています。しかしそれは「手段」でしかありません。私たちの目的は、野外における多彩なプログラムを通して社会やグループの中でのルールを身につけ、より良い人間性を養う手助けをすること。遊びやゲーム、アウトドアでの活動を通して「経験」「知恵」を自然に学んでいきます。また、違う年代の子供たちが集まって一緒に活動することも、ボーイスカウトの特徴のひとつです。現代社会に足りないなにかがここにあるような気がします。

保護者の願いとスカウト教育が目指すこと

 親として、私たちが子どもたちに身につけてほしいと願うことは、なんでしょう。これは、おそらくスカウト教育が目指すことと、ほとんど重なるはずです。スカウト運動は、子どもたちが活動に自発的に参加することで自ら成長し、社会に役立つ人間になることで、自分自身も幸福を得ること、そして世界が少しでもよくなることを目指しています。ボーイスカウト運動は、創設以来100年以上にわたる教育活動の実践をとおして世界中に広まり、運動の使命や目的を明確にしながら、教育の方法を練り上げてきました。

  子どもたちに身につけてほしい「人間として大切なこと」は、おそらく大昔からそれほど変わることはなく、また、どの国でも大きな違いはありません。そしてこれは、自分の子どもを生み育てていくとき、私たち保護者に特にはっきりと意識されるものです。<どんな人間に成長してほしいのか、そのためには何を身につければよいのか>と考えます。スカウト教育は、子どもたちに楽しい活動を提供するだけでなく、世界中の保護者が共通してわが子に望むことを実現するため、家庭や学校での教育を補うことで大きな手助けをしているといえます。

社会に出るための予行演習

 スカウトたちは、活動をしていく中でいろいろな「失敗」を経験し、多くのことを学びます。しかし、指導者や先輩は、「失敗」を安全が確保された範囲で体験できるよう見守っています。スカウトたちは、「班」や「隊」という、いわば「疑似社会」で、成功と失敗の多くの体験を積みます。これによって、将来、実社会に出たときに、仕事の場面や人間関係などで重大な失敗や不適応を免れることができるようになります。また、他の人々と協調しながら自分の夢や希望の実現に向かって生きるための、多くの重要な資質を、楽しみながら自然に身につけます。

「生きる力」を、体験をとおして身につけます

 文部科学省が取り組んでいる「生きる力」を様々な体験をとおして養います。

生きる力とは、知・徳・体のバランスのとれた力です。

 変化の激しいこれからの社会を生きるために、学力だけではなく、豊かな人間性、健康、体力の知・徳・体をバランス良く育てることが大切です。子どもたちの生活や学習を豊かにするためには、様々な体験活動が必要です。ボーイスカウトでは、他者や社会、自然や環境の中での直接体験のきっかけづくりを行い、活動をとおして人間性を育みます。

  • 知識や技能を習得し、それを活用して、自ら考え、判断し、 表現することにより、さまざまな問題に積極的に対応し、解決する力
  • 自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や 感動する心などの豊かな人間性
  • たくましく生きるための健康や体力 など

かわいい子には体験を

子どもの頃の体験は豊かな人生の基盤になります。

 子どもの頃の体験が豊富な人ほど、大人になってのやる気や生きがい、モラルや人間関係能力などの資質、能力が高い傾向があるとの調査があります。また、そうした子どもの頃の体験が豊富な人ほど、現在の年収が高く1ヶ月に読む本の冊数も多くなる傾向にあるとの調査結果があります。

詳しくは→→ 独立行政法人国立青少年教育振興機構「かわいい子には体験を」

制服を「着てる人」と「着てない人」の違いは?

ボーイスカウトの中には、制服(チーフ・首のスカーフ)を着用した人とそうでない人がいます。
かんたんに言うと指導者と保護者の違いです。

指導者はボーイスカウト指導者訓練を受けた大人がボランティアとして活動しています。それは、今いる子供たちの保護者だったり、過去にスカウトをしていた方だったりと様々です。

保護者は引率したり、作業の補助を行ったりする場合もありますが、もちろん強制ではありません。「一緒にやらなくてはいけない」ではなく、「参加できるときは子供達と一緒に楽しく遊びながら学ぼう」というイメージです。

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